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2018.06.20
活動報告
「JIMA2018 会員フォーラム」演者発表要旨
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 「JIMA2018 会員フォーラム」演者発表要旨






   ■日時 平成30年6月20日(水) 14:15~17:00

   ■場所 東京・晴海区民館




 <一般口演>



(1)賢い患者は救われるか?蒲公英の会の活動を振り返って

       井上 まや (つくば栄養医療調理製菓専門学校)

要旨: 蒲公英の会は、1991年に茨城県保健所主催ぜんそく教室参加者の有志で発足した患者会(親の会)である。1999年7月にホームページを開設したことから、会員が全国に広がった。傷のなめ合いをしない方針のもと、プロの患者を目指し、喘息について学ぶとともにピアサポートにより子育て支援の役割を果たしてきたが、2005年に解散した。

 蒲公英の会の活動を振り返り、患者会の役割を再認識するとともに、蒲公英の会の解散に通じる問題を整理し、「賢い患者」を目指すだけでは救われなかった現実を振り返りたい。この問題は解散から10数年を経た現在においても解決されない大きな課題であるからである。

(蒲公英の会)

「小児喘息またはアトピーの子を持つ親の会」として、会報の発行、講師を招いての講習会、ホームページによる情報提供、掲示板・チャットによる交流、子連れオフ会などの活動を行っていた。

 喘息児を持つ親は、子どもの体調に行動が左右され、交流会や講習会に出かける事はなかなか難しく、喘息に関する情報源は主治医のみとなりがちであった。2000年頃から急速に家庭に普及したインターネットは、自宅で自分の都合の良い時間に利用でき、無限に思えるほどの情報を得ることができる一方で、あふれる情報からどれを選んだらよいのかという問題もあり、いわゆるアトピービジネスの格好の標的になりかねないという危惧もあった。そこで、当会では医療は患者と医師とのコミュニケーションの上に成り立つものと認識した上で、「特定の病院や治療法は勧めない」「プロの患者を目指す」という方針を掲げ、喘息のコントロールは、その子どもの人生の目的ではなく、成長を支える重要な要素に過ぎない視点や、会員の子どものすべてが喘息児ではないという視点を提示し、子育て支援の役割も果たしてきた。





(2)意思決定を支える「環境」「情報」「感情」とかるた

         藤本 晴枝 (NPO法人地域医療を育てる会)


要旨: 意思決定や、行動変容を促すためには、適切な環境と情報が必要であることは言うまでもありません。しかし、そこに働く感情については、軽視されてきました。

どのような働きかけが、行動変容に効果のある感情を産み出すのか。当会が製作したかるたを例にとりながら発表させていただきます




(3)P2Pとクラウドの再考―医療分野にフル機能のブロックチェーンが必要か?

   山野辺 裕二 (社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院 法人本部情報部)


要旨: ブロックチェーン技術は最近注目度が上がっており、医療分野への応用事例も出てきている。わが国でもJIMAの副理事長でもある水島先生をはじめとする貢献により研究が盛んになりつつある。

この技術は仮想通貨等で社会に大きな影響を与えたこともあり、医療分野でも大いに期待できるが、その基盤となっているピアツーピア(P2P)技術の歴史を振り返ると、一世を風靡したしくみのほとんどがクラウドに置き換えられてきた。世の中がモバイルファーストになってきたことを考えると、その流れが腑に落ちる。この歴史を踏まえて、現在のブロックチェーン技術も同じ道をたどるのか、一部でP2Pが再興するのかなどについて検討を試みた。





(4)欧州の一般データ保護規則(GDPR)がもたらすもの

   三谷 博明 (JIMA事務局長)


要旨: 2018年5月25日、欧州のデータ保護規制GDPR(General Data Protection Regulation)が施行され、世界の関心が高まっているが、昨年改正個人情報保護法が施行されたばかりの日本でも、今後の個人情報保護の法制のあり方に大きな影響を与えるということで、にわかにクローズアップされてきた。

GDPRはそれまでの「EUデータ保護指令」に代わるかたちで2016年に採択された新たな個人データ保護の法律である。EU域内31ヵ国に所在する全ての個人データの保護を義務づけるものであるが、国籍や居住地を問わず、域内の個人相手に商品やサービスの提供を行っている日本の企業にも適用され、違反時には最大で2000万ユーロ(約26億円)か年間売上高の4%か、いずれか高いほうの制裁金が科されるということで、大きな脅威となっている。

規制の中身で注目されるのは、データの範囲が、名前やメールアドレス、クレジットカード情報等に加えて、IPアドレスやクッキー、位置情報、IoTで収集したデータまで、個人に関するあらゆる情報が個人データに含まれること、また、削除権(忘れられる権利)、データポータビリティ権(自分のデータを他に移転させられる)、自動化プロファイリングに基づく決定に服さない権利を認めるなど、データが属するとされる個人(データ主体)の権利がより優先的に強化されたことだ。いわば、データ主体者としての個人の権利を基本的人権の一部として位置付けたかたちになっている。

これらの権利は、わが国の個人情報保護法でもまだ定義されておらず、日本は個人データを域外に移転するには十分な保護措置を講じている国としての認定(十分性認定)を受けられておらず、データ移転に際しては企業間の個別の措置を求められるなど、国全体としての対応を迫られている。

JIMAのeヘルス倫理コードでは、Ver3.0への改訂にあたりプライバシー規程において、このGDPRの動きを取り込むことは間に合わなかったが、今後の課題として取り組んでいく必要があると思われる。





(5)「情報薬」としての医療情報

   辰巳 治之 (JIMA理事長、札幌医科大学教授)





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