このたび、一般社団法人日本インターネット医療協議会(東京、理事長・辰巳治之)では、厚生労働省が医療広告規制の施策の一環として作成公開した「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」について、その内容に重大な問題を含む記述がある本解説書の公開を直ちに停止し、本措置の後、速やかに当該記述の修正版を作成公表することを要望する申入書を、本年8月27日付にて厚生労働省医政局総務課宛てに提出しました。
令和3年7月26日付けの厚生労働省医政局総務課事務連絡「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書について」により、医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書が公表され、厚生労働省ホームページ上でも公開されています。本解説書は、厚生労働省が実施する「医業等に係るウェブサイトの調査・監視強化事業」において、実際に医療広告規制への抵触が認められた事例や、医療広告規制の内容の周知が必要と考えられた事例等をもとに作成されたとあります。
厚生労働省によると、本解説書は「現行の法令やガイドライン等に準拠して、わかりやすく解説することを目的に作成いたしました。」とされていますが、その内容を確認すると、医療法その他の関連する法令の規定や、これに基づく限定解除要件の具体的基準を示したガイドラインの記載に適合していない記述が複数存在することがわかりました。 そうすると、本解説書のこれらの記述は,医療法及び同施行規則の規定に適合しないにもかかわらず、法令違反の内容を、あたかも適法であるように例示していることになります。 また、この状態を放置すれば、医療機関は本解説書の記載に依拠して不適切なウェブサイトの記載を行うおそれがあり、不適切な医療広告がもたらす被害から患者等を保護するという法令の趣旨が害されることになると受け止めました。
当協議会では、1998年創設以来、インターネット上の医療情報の安全利用の環境づくりに長年取り組んできました。技術の進歩で法律規制の及びにくいインターネットでは、当事者が自らを律することを基本原則に、eヘルス倫理コードという自主的基準を策定、これに基づきサイトを評価・認証する事業を行ってきました。この中で、情報やサービスの提供にあたって関連する法令ガイドライン等を遵守することを求めているため、これまで率先して医療広告ガイドライン等の講習会を行い、最新の動向に注意を払ってきました。 しかしながら、今回の解説書は2018年の医療法改正以降の法令ガイドライン等の規定の解釈に根拠なく変更を加えるものであり、このままいくと、従来の規制への対応に努めてきた多くの医療機関や関係者に混乱をもたらすだけでなく、情報の受け手である患者・国民の利益を損なう恐れがあると判断、熟慮の末に、直接厚生労働省の担当部署に申入れを行うことになりました。
申入れの趣旨、申入れの理由、現行法についての解釈、事例解説書の問題点、及び今回私たちが指摘する解説書での誤りのある記述については、添付の資料をご覧ください。
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「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」に関する申入れ
申入れの趣旨 1 令和3年7月26日付の貴課事務連絡により公表された標記の事例解説書(以下「本解説書」という。)は、関連する法令等について誤った解釈に基づく記述が複数存在する。これにより、不適切な医療広告が流通して患者等の医療サービス利用者に重大な損害を及ぼすおそれがあるため、その公表を直ちに停止していただきたい。 2 上記措置の後、速やかに当該記述の修正版を作成して公表していただきたい。 |
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※本申入書は、医療情報分野での消費者保護に詳しい、法人受任弁護士藤谷護人、同本澤陽一、同木羽滋俊の所属する弁護士法人エルティ総合法律事務所を通じて、厚労省医政局総務課長宛てに行いました。
添付資料
・「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」に関する申入書
参考ページ
・医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省)
・医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(厚生労働省)
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