活動報告

「JIMAインターネット医療フォーラム2014」演者発表要旨

■日時 平成26年12月10日(木) 13:30~17:00
■場所 東京・中央区晴海区民館

<一般口演>

1) 日本の科学技術情報政策と医学図書館構想

木幡 洋子 (愛知県立大学名誉教授)

要旨:  日本の情報政策の現状

世界的に後れをとった情報化に対し、日本は2001年にようやくいわゆるIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)を制定し、通信の自由化など、ICT社会形成のためのインフラ整備に着手した。その間にインターネット利用の普及は高まり、国民の情報環境は徐々に整備されてきているが、こうしたICT社会への変容は、20世紀後半の日本の科学技術情報政策の延長にあるというより、ICTによる情報化が従来の科学技術政策を呑み込もうとしているように見受けられる。こうした現在の状況は、20世紀の医学情報に対する日本の政策を転換する好機ともとることができるが、国のICT社会化の主眼は経済発展と行政の効率化(電子政府化)に向けられており、情報社会において、この社会の利点を活用した医学情報の国民への保障に対する国の責任意識は稀薄である。

医学情報の意味と医学図書館の必要性

世界最大の医学情報保有と提供の施設であるMLAは、当初は医学研究という学問への貢献施設として出発をしている。けれども、医療の主体を患者と捉えなおすことで、医学情報は患者の主体的な自己決定を保障するためのものと理解されるようになり、国民の自己決定保障に対する国の責務として、国民への医学情報提供事業が始まっていっている。それは世界最大の医学情報保有を基盤としたものであり、膨大な医学情報を国民にわかりやすく提供する事業でもあった。医学情報の医療における要件としての最新性と安全性は、体系的な医学情報の蓄積、分析、提供を求めるものであり、その過ちは命の危険にと直結する。ここから、医学情報の他の科学情報とは分離した独立の情報機関の必要性が生じる。

日本の医学図書館構想

20世紀の医学図書館構想は、日本の科学技術情報政策の中に埋没し、1980年の学術会議による国立医学図書館設置の勧告も国によって無視されるところとなった。その後の、日本医学図書館協会による構想も、国の施策に反映されることなく今日に至っている。こうした国民にとって権利保障が脆弱な状態から日本が脱却するうえで、現在のICT社会化屁の取組みは、その取組みに医学情報関係者が、関係諸領域の研究者として、医療および情報サービスの実践者として、情報の利用者として、関わっていくことで変革のエンジンになる可能性を秘めている。すべての関係者が、stake holder としての自覚を持って交流し、何ができるかを継続して検討し、発言のチャンスを逃さないよう目を見開いていることが求められている。

2) WHO自殺予防ガイドラインからみた日本のメディアによる自殺報道の特徴

山崎 景佳(早稲田大学・人間科学部)

要旨: (掲出準備中)

3) 医療情報システムの安全管理をめぐる行政ガイドラインの状況

森田 巧 (JIMA運営委員)

要旨: 平成11年4月「法令に保存義務が規定されている診療録及び診療諸記録の電子媒体による保存に関する通知(厚生省)」から始まった医療情報の運用管理の定めは、より適切な医療分野の情報基盤構築を目的に「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(厚労省)」にまとめられた。

そして「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン(経産省)」、「ASP・SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン(総務省)」が、これを基に相次いで示された。

医療クラウドに代表される医療情報の外部保存の流れが急速に進行している中、医療者・介護者・患者家族がそろって利用することになろう患者さんの機微な医療情報を、如何に守り、如何に共有して活用するか、これらガイドラインの位置付けを整理する。

4) 見読性と検索性、個票と台帳の概念の変遷

山野辺 裕二 (国立成育医療研究センター 情報管理部情報解析室長)

要旨: (掲出準備中)

5) 医療情報の信頼性確保の取り組み~JIMAの活動の総括に向けて~

三谷 博明 (JIMA事務局長)

要旨: 平成24年9月に厚生労働省から「医療機関ホームページガイドライン」が発出されて2年以上経過したところであるが、JIMAでは、本ガイドラインができる前から、インターネット上の医療情報の信頼性確保の観点から、その実態状況を調査してきた。本ガイドラインは、医療機関がホームページ等で提供する情報の内容について、「ホームページに掲載すべきでない事項」を細かく定義するいっぽう、自由診療を行う医療機関については、治療内容、かかる費用、リスク、副作用等に関する事項を掲載するよう求めていた。

ガイドラインで違反例として明示された、極端な費用の割引や術前・術後の写真の比較等といった事例はすぐにはなくならなかったが、2年が経過して、ようやく違反の程度が軽減してきたようにうかがえる。しかしながら、インターネットの情報を見て美容クリニックに出向き医療トラブルにあった件数がなおも増加中との消費者庁報告や報道がでるなど問題は解消していない。また、自由診療系でない一般の医療機関ホームページおいて、ガイドラインに照らして疑義を抱かせる例が散見されたりする。

本ガイドラインをまとめた厚生労働省の検討会報告書では、「ガイドラインの実効性の把握に努め、改善が見られない場合には、対象を絞りつつ法規制も含めてその後の対応を検討する。」としていたことから、より法規制の強い医療広告ガイドラインの適用など、当局の対応が注目されよう。

JIMAでは、これらの動きを注視しながら、今後、医療ITの一層の進展と医療情報の利活用をめぐる新たな課題に備え、来年度より自主基準であるeヘルス倫理コードのバージョンアップに向けた検討を開始できればと考えている。

6) スマートプラチナ社会実現に向けて:情報薬の活用

辰巳 治之 (JIMA理事長、札幌医科大学教授)

要旨: (掲出準備中)

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